[第10話]環境型セクハラって? 思いがけずハラスメントの加害者に?そのリスクとは?
…よしっ。これでご機嫌で仕事ができるぞー♪
坪田くん、何しているの?
この前、インテリアショップでノベルティをもらったんだ。フォトフレームだったから、僕の推しの写真をPCの横に置いてみたんだよ。いいでしょ?
き、きゃあぁっ!!坪田くん、この写真はだめだよ!
え?なんで?!みんなも知ってるアイドルの〇〇ちゃんだよ?
だって、水着姿じゃないのよー!!
え?だめ?
だめだよ!受け手が「不快に感じ」ていれば、セクハラになり得るって、前にハラスメント研修で習ったよね?実際、私は、今これを見て、ちょっとドキドキしたわよ。私と同じように思う人もいると思うよ。
あー、そうなのかぁ。だめなのか…。Orz
坪田くん。これは、「環境型セクシャルハラスメント」になり得るのよ。
環境型セクハラとは、「労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること」と定義されているの。
???
例えば、職場に性別に関わらず、肌の露出の高いポスターを貼ったり、パソコンのスクリーンセーバーに卑わいな画像を設定したりすることで、本人の意に反して、周囲の従業員に視覚的に不快感を与えてしまい、就業意欲が低下してしまうことなどが該当すると言われているわ。
これは、個人のデスクの隅とはいえ、高杉さんのように、周りの社員の目にも触れるから、壁にポスターを貼るのと同じと考えられるわ。
そ、そうなのですか…。
「環境型セクハラ」なんていうものがあるのですね。初めて知りました。最近は、他にもたくさんの種類のハラスメントがあると聞いています。
そうなの。マタハラ(マタニティハラスメント)は、もう学習済みと思うけど、パタハラ(パタニティハラスメント)と言って、男性の育児参加に関連するものもあるのよ。さらには、オカハラ(お菓子ハラスメント)とか、ハラスメントハラスメントなどもね。何十ものハラスメントが存在すると言われているのよ。
うわあ…。覚えるのが大変…。
そうね。ハラスメントの加害者にならないようにするために大切なことは、相手や周囲が自分の言動をどのように感じているのか、常に相手の立場に立って考えてみることね。私ももちろん、一人ひとりが意識を変えていく必要があるわよね。
知識と意識のアップデートが必要なんですね。
そうね。坪田くんにとっては見ていて嬉しくなる推しの写真かもしれないけれど、それに不快感を抱く人もいるかもしれないのよね。だから、大好きな推しの写真は自宅で飾りましょうね。
はい…。大事に自宅に持ち帰ります。
そうよ。事前に防げたのだから良かったわよ。あまり落ち込まないでね。
今回のポイント
ハラスメントの問題は、会社の規模や業種を問わず、どこにでも起こり得るリスクをはらんでいます。お互いに、相手の立場を尊重し合い、働きやすい職場環境を確保しましょう。
詳しくは、『公式テキスト 令和のマナー検定』 P.110「ハラスメント」で確認しましょう。
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